事業承継を個人間で行う場合、課税事業者になっている者から家業などを事業承継すると、「廃業」と「開業」の届出をそれぞれ提出することになるため、事業を承継した事業者は、一定期間は免税事業者として取り扱われます。

このほど、会計検査院より、これは免税制度の主旨に反するという所見が出される見通しであるというニュースがありました(注1)。課税事業者の規模である事業を承継しているのに、小計した一定期間は免税になるのはオカシイ!・・・というのがその理由のようです。

確かに、そういう見方もできるかもしれませんが、個人的にはその角度からの理由だけで決めつけるのはどうかと感じるところです。

個人の場合、たとえ承継したとしても、まったく同じ規模で事業を継続できるかどうかは、個々の能力にも関係してきますし、そもそも一人一人は「別人格」です。親子間のみならず、他人同士での承継もあり得るところです。また、屋号は承継するけど、事業用資金も承継するのかどうかなど、一口に事業承継といっても、そのパターンは千差万別で、承継前と承継後では実態が大きく異なる可能性があります。

一方、法人の事業承継の場合は、同じ法人の内部で株主や経営者が変わるという話になりますので、こちらはその法人という「同一人格」内での話であり、課税事業者が承継を理由に免税に戻るということはありません。基本的には、法人が有している資産、負債なども承継しますので、ある意味、会社としての実態は変わりません。

ニュースだけでは、会計検査院の詳細な考え方は分かりませんが、法人における論理を、無理やり個人にも置き換えようとしているのであれば、かなり無理が生じることとなるでしょう。改正されるとすれば、おそらく課税事業者として強制的に継続させる場合の要件を限定するなどの方法になるのではないでしょうか。

しかし、税率が8%になる前後もそうでしたが、消費税法は増税に合わせて、より消費税を徴収する仕組みの議論や改正が活発になりますね。

今回のニュースは、今後どのような議論になるのか注目です。いずれにしても、納税者側が納得いく形で検討されることを願います。

(注)毎日新聞電子版10/14配信より抜粋